SNSで、あるAIプラグインが話題になっていました。「著名な経営者や専門家の視点で、AIがあなたの文章をレビューしてくれる」というもの。うちはちょうどブログ記事の公開前レビュー体制を作ろうとしていたタイミングで、正直、かなり惹かれました。
**この記事の結論:**入れませんでした。代わりに、欲しかった機能だけを自作しました。かかった時間は30分ほどです。
この記事は「そのプラグインがダメ」という話ではありません。導入する直前で立ち止まって考えたこと——「入れる」と「作る」をどう判断したか——の実録です。同じ構造の判断は、企業がAIツールを選定するときにそのまま出てきます。
この記事で分かること:
- ツール導入の前に確認すべき3つのポイント
- 「欲しい機能」を一段掘ると、必要なものが変わる話
- 「入れる/作る/入れない」の判断基準
1. 何に惹かれたのか
このブログは公開前に記事をレビューする体制を作ろうとしていました。自分たちで書いた(あるいはAIが下書きした)記事は、どうしても身内の目では甘くなります。「一流の視点で厳しくレビューしてくれる」という売り文句は、その課題にぴったり刺さって見えました。
2. 立ち止まった3つの理由
① 未検証の第三者コードを、権限の強い環境に入れることになる
AIアシスタントの作業環境は、ファイルの読み書きやコマンド実行など、強い権限を持っています。そこに入れるプラグインは「便利な追加機能」ではなく「自分の環境で動く他人のコード」です。
**注意:**中身を検証していないコードを入れるのは、会社で言えば、素性を確認していない業者に事務所の鍵を渡すのと同じ構造です。有名なプラグインなら安全、とも言い切れません。確認できないなら入れない——これはAIに限らない、ソフトウェア導入の基本原則だと考えています。
② 動作環境が合っていなかった
よく見ると、そのプラグインは別のOS環境を前提にした依存関係を含んでいました。導入しても、そのままではうちの環境で全機能は動かない可能性が高い。「バズっている=自分の環境で動く」ではない、という当たり前の確認です。
③ 欲しかったのは「口調」ではなく「判断基準」だった
これが一番大きな理由でした。冷静に考えると、僕が欲しかったのは「著名人風の語り口でレビューされること」ではなく、その人たちが使っている評価の枠組み——オファーは明確か、読者の検索意図に答えているか、証拠はあるか——でした。
評価の枠組み自体は、書籍や公開されている情報で学べる「公開されたフレームワーク」です。つまり、プラグインの一番魅力的に見えた部分(有名人の再現)は、実は僕の課題解決には不要な部分でした。
プラグインに惹かれた部分と、実際に必要だった部分の整理です。
3. 自作したもの — 30分のチェックリスト
そこで、公開されているフレームワークを3つの視点のチェックリストに落とし込み、レビュー用の指示書として自作しました。
- オファーの視点:この記事は読者をどんな結果に近づけるか。具体性と証拠はあるか
- 編集者の視点:検索意図に直接答えているか。構成・タイトル・内部リンクは適切か。盛った表現はないか
- 読者の視点:初見で文脈が分かるか。専門用語で置いてけぼりにしていないか。「どうせ宣伝でしょ」と感じる箇所はないか
作成にかかったのは30分ほど。以来、このブログの全記事はこのチェックリストを通してから公開しています。プラグインと違って中身は全部自分たちで書いたものなので、基準の調整も自由です。
あわせて読みたいAI議事録ツールを買う前に。手持ちのAIで作れないか一度考えた話
4. 企業のAIツール選定も、同じ構造
この判断過程は、企業が「話題のAIツールを入れるべきか」を考えるときとまったく同じ構造をしています。導入前に確認すべきことを一般化すると:
| 確認項目 | 問い |
|---|---|
| アクセス範囲 | そのツールは何のデータ・権限に触れるか |
| 提供元 | 誰が作り、誰が保守しているか。検証できるか |
| 環境適合 | 自社の環境・業務フローでそのまま動くか |
| 課題の正体 | 惹かれている機能は、本当に自社の課題を解決する部分か |
特に4つ目は効きます。「すごい機能」に惹かれて導入した後、実際に使うのはその周辺の地味な機能だけだった——というのはAIツールに限らずよくある話で、課題を一段掘ると「買う必要すらなかった」が判明することは珍しくありません。
「入れる/作る/入れない」を感覚ではなく順番で判断するための4項目です。
よくある質問
「プラグインは危険だから入れるな」という話ですか?
違います。検証されたツールを適切な権限で使うのは合理的です。問題は「バズっているから」「便利そうだから」で、中身とアクセス範囲を確認せずに強い権限の環境へ入れること。判断の順番の話です。
自作の方が常に良いのですか?
いいえ。今回自作を選べたのは、欲しいものが「チェックリスト」という小さな成果物だったからです。開発・保守コストが大きいものを何でも自作するのは車輪の再発明で、既製ツールの導入が正解の場面はいくらでもあります。「小さく作れるものは作る、大きいものは検証して買う」が僕の目安です。
導入判断の相談はできますか?
できます。うちはAIツールの導入・活用支援を行っており、「入れる/作る/入れない」の判断から一緒に整理します。お問い合わせからどうぞ。
まとめ
- ツール導入の前に:何に触れるか・誰が作ったか・自分の環境で動くかを確認する
- 惹かれている機能が、本当に自分の課題を解決する部分かを一段掘って確かめる
- 公開されたフレームワークで足りるものは、30分の自作で済むことがある
- 「入れる/作る/入れない」は感覚ではなく、この順番で判断する
このレビュー体制で運用しているブログの仕組みはブログ半自動化の記事で公開しています。AI導入のご相談はお問い合わせから。

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